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『最初はやめろと言ったくせにどうしたんだよ』
『桜』
向日葵は陽希の両肩を掴み向かせると真剣な顔で見つめた。
『…向日葵…』
『今、シーズン様の所に彼の弟がいる』
『どうして蓮君の弟が』
『シーズン様はお前と彼を別れさせるために弟を利用するきなんだ』
『シーズン様に会ってくる』
陽希はその場から消えていった。
『シーズン様、すみません…桜を悲しませたくないから俺は桜と佐藤蓮さんの恋を応援します』
向日葵は空を眺めながら心の中で言った。
ー大神シーズンの部屋ー
『シーズン様』
『桜、珍しいな、お前が私に会いに来るなんて』
シーズンは机に近づき椅子に座った。
陽希は机に近づき口を開いた。
『ここに佐藤蓮の弟がいるそうですね』
『いると言ったら』
『関係ないでしょ、家に帰してあげてください』
『お前が佐藤蓮と別れると言うなら、家に帰してやる』
『彼と別れるつもりはありません』
陽希は真剣な顔で言った。
その時、紅葉が蓮を連れて部屋に現れた。
陽希は振り返り蓮に驚いた。
『蓮君…』
『陽希さん』
蓮と陽希は見つめあった。
『君が桜の恋人か』
『恋人って…』
頬を赤らめる蓮に陽希が口を開いた。
『君の弟がここにいるそうだ』
『え…蓮実が…』
『知らないで来たのか』
『はい…』
蓮が頷くと陽希はシーズンに目を向けた。
『シーズン様、彼に弟を帰してあげてください』
『桜が彼と別れると言うなら、彼と弟を下界に戻してやる』
『……』
陽希はうつ向きながら握りこぶしをつくった。
ー隠し部屋ー
目を覚ました蓮実はベットからおりドアに近づいた。
そして蓮実はドアノブを掴み引いた。
『何で開かないんだ…ん?…』
話し声が聞こえた蓮実はドアに耳をあてた。
『どうして陽希さんと付き合ったらダメなんですか?…陽希さんの恋人が亡くなったからですか』
蓮はシーズンに問いかけた。
『兄貴…兄貴…』
蓮実は必死にドアノブを引いた。
『鍵がかかってて開かない』
『……』
蓮実は手を止め振り返った。
『あんた…』
『……』
向日葵は蓮実に近づきドアノブを掴むと魔法で鍵を開けドアを引いた。
『兄貴』
蓮実は蓮に近づいた。
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