第1章 オバタリアーン現る。

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「ただいま……米子。」 とある団地の6階に、尻に敷かれげっそりとしたバーコードヘアの男(50歳)。 「あーん? おかえり。」 見事なまでのおかんパーマをかけ、体重はそろそろ3桁越えそうなおばちゃん(45歳)夫婦が住んでいた。 「米子……。 たまには、夜ご飯を作っては……」 「なーによ!! 私は、昼ドラ仮装の女の録画見るのに忙しいのよ!!! 自分のご飯ぐらい作りなさいよ!」 「………。俺は働いてるんだし、家事は米子が……」 男の名前は、冬木 薄蔵 おばちゃんを冬木 米子と言う。 「あんたねー。 そんな給料で働いてるとかよく言えるわね! その程度の給料じゃ、私の香水も買えないじゃない。」 と、化粧台の上を指差す米子。 その上には、高級ブランドの香水が、数並べられており、米子は、それを一度に何種類も使うのだ。 ゆえに、薄蔵の給料は一般平均であるものの、生活は圧迫していた。 さらに、コタツに潜り込み、ボリボリと煎餅を食べながらドラマをみる。 これが、米子のライフスタイル。 米子は、昭和の生き残り、生っ粋なオバタリアンである。 「ったくもう!」
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