『Xだけの最悪』

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 家に帰って、それでぼくは勉強机に向かった。ペンとノートを取り出し、そしてそのページにみーちゃんの話をまとめてみることにする。  まず、X、Yという文字を少し離して横並びに書く。その間に、みーちゃんが話してくれた相対関係を書き込んでいった。  XとYは家族だ。Xはみーちゃんで、そしてYは母親だ。ふたりは愛し合っており、けれど憎み合ってもいる。YはXの身体を日々痛めつけ虐待しており、そして手に入れた青酸カリで、とうとうその命を狙いはじめた。Xはそれを知り、そうはさせまいと、逆にYを殺すことを企てる。それは明日、夜九時。あの家で行われる。  ぼくは、記したそれらを見つめ、そして決意を固める。そんなことは、させない。ぼくはみーちゃんが好きだ。だから、彼女を人殺しなんかにさせはしないし、ましてや死なせもしない。  ノートのページを破り、ポケットにしまう。それは、決意の表れだ。  明日、ぼくはみーちゃんを止める。
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