第1章

18/21
前へ
/21ページ
次へ
「編集長!」 「あ~、すまんすまん。うっかりしたよ。」 「うっかりじゃありませんよ。まったく!」 「相変わらず、松田先生への崇拝っぷりは揺るがないねえ、永瀬。」 「当然です。それより編集長、妙な事になって来ました。斉藤くんが、あの場所を知っていたとなると、失踪者との関連があると考えて間違いありません。そして、あのうわ言…まさか、日本人形なんて事になったら…ヤバいですよ。」 「おいおい…。永瀬、頼むよ。脅かしはなしだ。」 「実は編集長。気になる事が…。」 「やだなあ~。永瀬、お前が説明モードになるとロクな事がない…。」 「そう仰らず、聞いてくださいよ。今、日本人形が数十体集まって話をする《人形の座談会》という動画があるらしいんです。その座談会を見た者は未知の世界に引きずり込まれる。都市伝説のようなものです。ただ、見るのは難しいんですよ。ネットで配信されていないんです。」 「えっ…!永瀬、まさか。」 「お察しの通りです。ファイルですよ。編集長。」 路地裏のネットカフェの住所に行くと、やはり建物はなかった。空き地になっている。草が生い茂っているところを見れば、かなり前から空き地だった事がわかる。草むらにキラッと光る物を見つけた。 「編集長。これ…。」 「USBか?何故、こんなところに…。おい、永瀬、怪しいな、それ。」 「編集長、ここで確認するのはちょっと危険かもしれません。中を見るのは社に戻ってからにしましょう。」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加