第六章

14/14
前へ
/109ページ
次へ
「じゃあ昨晩見たあれがメアだったん?」 「いいなぁいいなぁ!僕もメアさん見たかった!ねぇ!どんな顔だった!?」 渡される紙とペン。ふふふ、小春画伯の画力をとくと御覧あれ!! 「こんな感じ」 お、似てる似てる。 「…神、僕らが見たんは怪獣だったか?」 「いえ、人の形をしてたはずですが…あれ」 「僕メアって人間だと思ってた!」 「なんつーか…人は死んだら見るも無惨な姿になっちまうんだな」 「ボス、あれなに?」 「…宇宙人?」 よしお前らみんな死ね。 「小春様!私にはちゃんとわかりますよ!」 「春…」 「まず筆ならしにエイリアンを描いたんですよね!お上手です!さぁメアさんを描いてください!」 よし、お前も死ね。 死ねとか言っちゃいけません!めっ! 「ハハ、メア随分美人になったんね」 しゃ!社長! 「社長の目には何がついてんだ、あれを美人だなんて」 「え?美人じゃん。ちゃんとわかるよ」 珍しく社長を好きだと思いました。うわぁん。…って、あれ。 「社長それ逆さまです」 「え、あ、あー…」 やっぱりみんな大嫌いだぁ!! 「ふん!もうさっさと帰るよ!」 車が動く。皆が笑う。お坊さんに手を振って、小さくなっていく墓地を見つめた。 10年間あそこで社長が来るのを楽しみにしていたメアさんはもういない。 だけどまた来るよ。 すぐに会いに行くから。 見上げた空は雲一つなくて、良かった、これならメアさん、見易いね。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加