第1章

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「そこのお嬢さん」 その声は恐らく私を呼んだ。木製のお洒落な屋台には顔がよく見えない多分オッサンと綺麗な箱。何の店かはわからない。 「チョコは好きですか?」 オッサンは返事を待たず話を続けた。チョコは好きか。うん、三度の飯より好きだ。ということはこれチョコの屋台?チョコフォンデュとか?ヤバい、興味ある。 「試しにお一つどうぞ」 渡されたチョコは一口サイズの丸いもので特に変わった感じはしない。しかし口に入れた瞬間感想は一変。広がる甘味や香り、舌触り。 こんなに美味しいチョコは初めてだ。 「おじさん!これいくら?」 「10個入りで315円だよ」 「買うわ!3つ頂戴!」 「生憎ウチのチョコは一度に一個しか売れないんだ」 残念だ。まぁいいや。とりあえず一個買って明日また買おう。常連になろう。 「はい、315円」 「ちょうどだね、はいどうぞ」 お洒落な箱に入ってるなぁ。外国製?この箱とっておこう。あぁ良い買い物した! 「お嬢さんツいてるよ」 「え?」 「今回のオマケは、従順だよ」 オマケが従順?なにこのオッサン。中二病?まぁいいや。チョコさえ手に入ればオッサンが中二だろうが中三だろうが中年だろうが関係ない。早く家帰って食べよう、そうしよう。早くしなきゃ晩御飯のコンビニ弁当冷めちゃうしね。
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