2 シグナル女 ルイ

2/17
前へ
/58ページ
次へ
夜の世界は、最近、暴走族など流行らないらしい。 代わりに幅を利かせているのは、『カラーギャング』と呼ばれるグループ。 チームカラーをそれぞれに決め、その色を身にまとうことで、チームの名乗りをあげている。 車などの足を持つメンバーは少なく、代わりに徒歩で市街のゲームセンターなどを活動拠点としていた。 バイクで町を走りまわる爆音神とは、交わる可能性など無いに等しいチームだ。 だが、 「狂乱虎兎(キョウランコト)ってチームの、狂い兎の羽月。聞いたことはない?」 ルイの言う名に聞き覚えがあった。 喧嘩や恐喝、強盗などで、暴走族より警察に目を付けられている男だ。 そして狂い兎が定めた、チームカラーは『白』。 爆音神にチームカラーはないが、しかし総長のトモキが背負う特攻服の色が『白』だ。 漆黒の特攻服の中に、たったひとりで立つ、『白』のトモキは、夜の世界では評判になっていた。 恐れを知らない、孤高の『獣の王』だと。 それを知っていてなお、チームカラーを『白』に定める、狂乱虎兎というチームに、 爆音神のメンバーは少なからずの反感を覚えている。 「あいつら、バクオン、ナメてんすよ」 と、いきり立つ声も聞いた。 だから、いずれはぶつかる運命だった。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加