16人が本棚に入れています
本棚に追加
「狂い兎の羽月に、アタシはレイプされたの」
ルイは言った。
ルイは、詳しい話をしたいと、哲郎をラブホテルに誘った。
誘われて断るほど、哲郎も野暮でない。
しかしルイは、抱いても、どこか冷めていた。
ルイの髪は、炎のように赤いのに、腕の中のルイはまるでぬるい激辛ラーメンだ。
経験値としてはプロ相手が多い哲郎だったから、正直、面白いとは思わない。
ルイは求めるでなし、拒むでなし。
哲郎にされるがままに、ただ足を開くだけだ。
だが、哲郎を誘ったのはルイの方だ。
気を使う必要もないと、自分の欲求だけを果たすセックスをした。
しかし、哲郎の腕の中で、
「ねえ、羽月を殺して。絶対だよ」
喘ぐ代わりに、呪いをかけるように呟くルイの唇を見ていると、
ほんの少しだけ、扇情的な気分になった。
この後、黙ってルイを見捨てたなら、この赤い髪と唇は、怒りの炎で燃え上がるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!