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しかし、
「雨もやんだ。出るぞ」
血だらけの哲郎に声もかけず、ほとんど無視して背中を向けた。
哲郎は、後を追おうとして、ふいの目眩に襲われる。
駆けつけた五十嵐に、体を支えられた。
「テツローさん、無茶しないでください。ボロボロなんすよ」
哲郎の両肩を揺さぶるように話しかけてくる五十嵐も、ずいぶんとやられたようだ。
グルリと目を向ければ、橋元も、壁際に座り込んで、まだ立てない様子でいる。
他の3人など、互いに背中を預けて、意識があるかどうかも怪しい。
しかしトモキは、誰を気遣うこともせず、独り、勝手に歩いていった。
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