1 獣の王 トモキ

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トモキの駆るゼファーのテールランプが、哲郎のフォアのずいぶん前を走っていく。 哲郎は右に左に峠を駆ける、その光を見失わないだけで精一杯だ。 ひとつ先のコーナーを、光の尾をひいて消えていくトモキのバックライトを見ながら、 自分も目一杯ハングオンして抜けていく。 トモキのラインをトレースしても、まったくスピードがあがらない。 なぜこんな無茶なライン取りであんなにも早いのか、さっぱり理解できない。 だが、特攻隊長の橋元だけが、トモキのすぐ後を、正確なコーナーワークで駆け抜けていく。 その単車のテクニックは、さすがで、どうやっても橋元には適わない。 このふたりに哲郎は、いつも置いていかれる。 単車は排気量が同じなら、ガタイが小さい方が有利だ。 そればかりが理由ではないのだが、悔しいので、哲郎は絶対に認めない。
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