2 シグナル女 ルイ

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シャワーで体中についた血を落とし、哲郎はソファーに座って、自分で傷の手当てをした。 家が道場だから、怪我の手当てには慣れている。 ルイは、疲れた様子でベッドに横たわっていた。 その背中を見ながら、ため息をついた。 思い通りにルイを抱いてみても、湧き上がる飢餓感を自覚しただけだ。 やはりルイでは、  ……満たされない。 眠っていると思っていたルイが、体をゴロリと転がして、うつ伏せになり頬杖をついた。 「ねえ」 上目遣いで哲郎を見上げてくる。 「いつ、羽月を殺ってくれるの?」 強い者に媚び、すがる目だ。 トモキを前にすると、誰しもがこんな目をする。 ルイの目から視線をそらせば、赤い唇が、まるで別の生き物のように蠢いていた。 「バクオンは『白』がいらないの?」 哲郎は、甘美な毒を盛られた気分になった。 ルイは単純に、チームカラーの『白』をいらないのかと問うたはずだ。 けれど哲郎は、バクオンにはトモキが『必要なのか?』と聞いた。 哲郎の中の鬼が、一声、咆哮をあげる。
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