2 シグナル女 ルイ

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しばらく哲郎は、じっと目を閉じていた。 そしてゆっくりと体を起こし、赤く染まったルイを見る。 「お前は、羽月を殺して欲しいんだろう」 己の中の鬼が命じるままに、力を振るうことは、いつだってできる。 だが、おめおめと、鬼に従うのも癪だ。 哲郎がすべて壊すのは、もう少し先でもいい。 それは、誰への言い訳なのか、それとも本心の望みなのかは、わからなかったが……。 だが、 『何もかも終わらせてから』 は、ひとつの区切りになるはずだ。 哲郎は、ルイに、 「約束は果たそう」 応えてやった。 「狂乱虎兎も羽月も、お前が望むのならば、おれが全部壊そう」 ルイは不安な瞳で、哲郎を見上げてきた。 「……全部って?」 「ああ。全部だ」
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