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その時、トモキがふと顔をあげて、
「テツゥ!」
気まぐれのように、名を呼ばわった。
その声につられて、隊員たちが振り返って哲郎を見る。
そして、
「――テツローさん、いたんですかっ!」
驚きの声をあげ、一斉に踵を合わせて敬礼した。
まるで軍隊だ。
「あんだよーおめーら。鬼の副長には、まとめてお利口さんじゃねーか」
橋元がおかしそうに笑う。
橋元の言うとおり、特攻服こそ着ていないが、哲郎は、チーム『爆音神』の副長だ。
だが、トモキから一方的に、
「テツ、お前はおれのチームだろ?」
と言われて、
「ああ」
と答えただけだ。
――暴走族の副長――
そんな立場を、哲郎は、引き受けた覚えはない。
だからトモキに渡された特攻服も、クローゼットの奥深くに仕舞いこんだままだ。
トモキは、それが気にいらないらしい。
「テツおめー、なんでバクオンの名前、背負わねーんだ?」
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