第6章 レイバーデー

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卓也が繰り出した拳が、男の顔面を捉えた、と思った瞬間に、横から大男が伸ばした手のひらに受け止められる。 男は大男の腕を信用しているのか、はたまた反応出来なかっただけなのか、その場から微動だにしない。 「この国では、挨拶は拳で行うのかい?」 男は優雅に笑って言った。 その瞬間、大男が動いた。 岩をも砕けそうなパワーで、卓也の頬を殴り飛ばす。 卓也は吹っ飛ばされて、近くの公衆トイレの壁に激突した。 「タクッ!」 卓也に駆け寄るメンバーと、大男に立ち向かうメンバーが二分する。 「ふむ。あっちか」 そんな状況など、まるっきり目に入らない様子で、男は長くのびた学生服の目印をたどるように、中学生たちの中を歩いていく。
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