第3章 プレジデントデー

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直に見るわけにもいかないので、哲郎は、トモキから視線を動かさずに言葉で確認した。 「物騒なもの……。確かか?」 「ああ、ちょっとヤッベェね。アレは」 言葉とは裏腹に、トモキはなんだか楽しそうだ。 「ねえ……」 アンがたいして美味くもなさそうに、ハンバーバーを続けて口にしながら聞いて来た。 「ホントにホントなの?」 ターゲットであるアン王女自身に、現状を把握してもらわなければ、かえって危険だ。 この店に入る前に全部話した。 ここまで物騒な相手に狙われるだなんて聞いていないし、王女が勘づく前に始末できる程度の相手でもない。 どう見ても、相手はプロだ。 「お前に嘘をついて脅かして、おれたちに一体なんのメリットがある? そりゃあ、もう少し大人しくしてくれた方が助かるが――」 滔々と続けようとしたが、アンがハンバーガーを皿に戻して、俯いてしまったので言葉を止めた。 「……I beg your pardon.」 アンが素直に謝罪するので、哲郎は逆に戸惑う。 哲郎が知っている女は、もっと打たれ強い。 しかし、ためらいなく謝罪を口にするところは良く似ているが……。 少し、強く言いすぎたかもしれない。
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