第3章 プレジデントデー

5/16
前へ
/92ページ
次へ
ぶらぶらと、身体を揺らしながら近づいていくトモキの視線から逃れるように、男たちは不自然に顔をそむけた。 見る限りは日本人と変わらない、黒髪、黒い瞳の大人の男のふたり連れ。 着ている物もテレビの中のような黒いスーツではなく、グレーのダウンと黒のレザージャケットだ。 トモキがテーブルの真横にまで近づくと、さすがに慌てて立ちあがろうとするグレーのダウンの首に、 トモキはラリアットのように太い腕を引っ掛け、すばやく後方に回り込むと、逆手で後頭部を押しつけ頸動脈を絞めた。 「よお、オッサンたち。おれらに何か用か?」 予告も警告もなく、いきなり相棒を絞め落とされたレザージャケットは、慌てて懐に手をいれる。 しかしトモキは、絞め落としたダウンの身体を己の盾として、レザーを牽制しながら不敵に笑う。 「いーのか? こんな場所で物騒なもんだすと、それこそ大騒ぎになるぜ」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加