第3章 プレジデントデー

7/16
前へ
/92ページ
次へ
拳銃が衆人の目にさらされて、店内は阿鼻叫喚の騒ぎになった。 身体がすくんだように動きを止めていたアンが、哲郎の声にビクリと反応して、慌ててそれを拾い上げる。 「バカが。間違うな!」 哲郎はトモキに怒鳴り声をあげた。 「悪ぃー。こっちで当たりだと思ったんだよ」 言葉のわりには反省していない様子でトモキは言う。 言いながら盾にした男の身体ごと、正面のレザージャケットに突っ込んだ。 レザーの顔面に真っ向からの正拳突き。 だが男も発砲した。 「――!!」 攻撃はトモキの方が早かったのだろう。 弾丸は関係のないところにすっ飛び、窓ガラスを粉々にする。 発砲音よりガラスの割れる音の方が、よっぽど迫力があった。 銃声はテレビで聞くより、もっとずっと軽い音だ。 しかしトモキは気をとられる様子も見せず、意識のないダウンの身体ごしに、レザーの顔面に頭突きの追撃を加える。 血を噴いてひっくり返ろうとするところを、絞め落とした男を放り捨てて、襟をつかみ腹部にひざ蹴り、2発! レザーも悶絶して床に沈んだ。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加