第一章 ニューイヤーズデー

2/8
前へ
/92ページ
次へ
トモキは、まるで子どもを見下ろす角度で言い捨てた。 「チビだな」 言われても仕方がないくらい背の高いトモキに向かって、女は怯まず、ねめつけるように見上げると、語尾をしゃくりあげて言った。 「……パードン?」 「あぁ?」 トモキの返事も、ガラが悪い。 哲郎は、これは前途多難な一日になると、思わず頭を抱えそうになった。 金髪碧眼だが、最近の日本人よりチビなこの女は、哲郎の父親の言葉を借りれば、どこかの国の王女さまらしい。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加