第4章 メモリアルデー

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哲郎が走らせるバイクの後ろで、アンはぎゅっと哲郎の背中にしがみついている。 哲郎の腹に回された腕は、よく見れば振動とは違うリズムで震えている。 これ以上、バイクのバックシートに、アンは耐えられそうにない。 哲郎の後ろには、まだ一台、黒いセダンが張り付いている。 そこにトモキがブレーキを鳴らして、脇道から突っ込んできた。 哲郎の横に並んで走る。 「しつけー。もう一回、潰してやんなきゃダメか?」 だが哲郎は首を振った。 「ダメだ。これ以上は、こいつがもたない」 アンの様子をトモキも認めると、トモキはちょっと考えこむように上を向いて、 「おっしゃ、ついて来い」 と哲郎の前に出て先導した。
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