第4章 メモリアルデー

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市内を北上していたのを、いきなり右折して東へ向かう。 道路の左手には、遊覧船が水上を行き来する、広い疏水路が伸びていた。 左側にバカでかい朱色の鳥居が見えたところで、トモキが、 「おめーらはそっちに降りろ」 と疏水側に下る通路を示した。 道路ではない、通路だ。 だが哲郎はトモキの指示通り、そこを下る。 哲郎の動きをセダンから隠すために、車道から歩道に乗り上げて、周囲を混乱させていたトモキは、そのまま歩道を歩行者の悲鳴と共に暴走する。 歩道は、今や哲郎の位置からは、頭より高いところにあった。 車が走る車道からは、歩道や街路樹が目隠しになって、疎水の脇を走る哲郎のフォアは完全に隠されているはずだ。 バックミラーも使って周囲を警戒し、迫ってくる影がないことを確認してから、哲郎は少しスピードを緩めた。 締め付けるほどに、哲郎の腹にしがみついているアンの腕を、左手でポンポンと叩いてやる。 だがそのアンの腕に血がついて、哲郎はギクリとした。 どうやら肩からの出血が、まだ止まっていないらしい。
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