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アンでも耐えられるぐらいのスピードで、まっすぐにバイクを走らせていると、
また歩道に戻る坂道の途中で、トモキがバイクを止めて待っていた。
「あいつらは?」
と聞くと、
「渋滞につかまってる」
と、すぐそこが有名な観光寺の入り口なんだと笑う。
バイクで逃げるなら今の内だが、アンが転がるようにバイクから降りて、ヘルメットを脱ぐと、地面に嘔吐しだした。
何度もせき込みながら苦しそうに、胃の中の内容物を地面にぶちまけている。
「バイクはもう、無理そうだな」
哲郎が言うと、トモキは哲郎の左腕を取って、
「お前もな」
と言った。
血に濡れた左腕は、今はもう感覚がない。
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