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だが、振り返ったふたりを見て、そこにいた5人の中学生は、連なって深々と頭を下げた。
腰を90度近くにまで折って、目も合わさないまま、中心に立ったひとりが声をあげる。
「おれたち、バクオンの親衛第3支部のメンバーさせてもらってます。おれは松浦卓也っていいます」
「山科幸一っす」
「寺田陽光です」
「遠藤ミナミっす。感激です」
「下幸太郎。よろしくです」
また中心の卓也と名乗った中学生に戻って、
「こんなところで総長と副長にお会い出来るなんて、おれたち光栄です」
と言った。
トモキと哲郎は、互いに顔を見合わせる。
「おい、ウチに第3支部なんてあったのか?」
トモキは哲郎の耳元に顔を寄せ、呑気なことこの上ない発言をする。
哲郎は、ふたりを前にして緊張した様子で固い声を出す、この赤や金の髪色をした、それでも柴犬のように従順そうな中学生たちに、せめて今のトモキの発言が聞こえていないことを祈りながら、
「五十嵐の配下だろ。いいから頭をあげろ。なんだ? 今日は学校行事か?」
と聞いた。
中学生たちは、ガバリと顔をあげて、
「そんなっ! 五十嵐さんの下だなんておこがましいっす。おれたちはまだ、第3の北上さんの使いっぱで……」
と照れたように目を伏せる。
「なあ、だから北上って誰だよ?」
無神経なトモキの足を、哲郎は軽く蹴っ飛ばしてやった。
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