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とりあえず敵でないのなら、こんなところで呑気に立ち話をしている暇は、トモキたちにはない。
哲郎は、手を振って、この中学生メンバーに消えろと指示しようとして、ふと思いついて聞いてみた。
「卓也とか言ったな。今この場所に、他の爆音メンバーはどれぐらい来ている?」
卓也はパッと顔を輝かせて、
「ウチの中学ではバクオンはまさに『神』っすからね。気合入ってる奴は、ほとんど入らせてもらってます。
えと……、今日は3年だけだから、男だけでも30人ぐらいはいるんじゃないかと思うんすけど……。
あっ! 今すぐ集合かけて点呼とらせます」
卓也だけでなく、他のメンバーも慌てて携帯を取り出して、皆を集めようとするので、哲郎は静かにそれを止めた。
トモキもいい案だ、という風に哲郎を見ている。
「おまえたちがバクオンだと言うなら、これからひとつ命令をだす」
哲郎の低い声に、中学生たちはピシリと姿勢を正して直立した。
「おれたちが迎えに戻るまで、何があっても、お前たちでこの女を守れ。髪の毛一本でも傷つけることは、おれたちが許さん」
トモキが続けた。
「『爆音神』の名にかけて、アンを守れ。これは総長の絶対命令だ」
中学生たちはキリリと顔を引き締めて、
「押忍!」
と返事をした。
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