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アンの聞こえないところで、噂話は続いていく。
先ほどの問いを口にした、ミナミに向かって、幸一が答えた。
「当たり前だろ。トモキさんのオンナ以外の誰に、『守れ』だなんて絶対命令がおりるんだよ」
「なんだお前、知らないのか?」
怪訝な顔をするミナミに、卓也は何故か自慢そうに教えた。
「そもそもバクオンには、設立当初から絶対命令はひとつしか無いんだよ」
知っているらしい幸一が、卓也の隣でうなずいている。
なんだなんだと、他のメンバーも集まってきた。
「集会だって抗争だって、トモキさんは絶対命令なんか下さないんだ」
「なんだよそれ? ついこの間だって、あの『阿修羅』と、ものすっげぇ抗争があったじゃねーか。
そん時には50人の幹部連の他にも100人近いメンバーが参戦して、それこそ伝説になるようなパレードだってあったじゃねえか」
「ああ、そうだ。単車を持ってねーおれたちは、見てるだけで悔しかったよな」
卓也は拳を握って唇を噛む。
「だけどアレも、別にトモキさんが絶対命令で集合をかけたわけじゃねー。抗争の話を聞いて、トモキさんに心酔するメンバーが自主的に集まったんだ」
我慢できなくなったらしい幸一が後を引き取る。
「そうでもなきゃ、相手はあの『阿修羅』だぜ。藤村を前にして、いざとなったらビビって尻尾まいて逃げ出すようなやつなら、トモキさんは最初から相手にしねーんだよ」
「マジでか? 命令も下さねーで、トモキさんはあれだけの数の男たちを集められるのか?」
卓也と幸一は、メンバーに向かって、ふたりしてビッと親指をたてた。
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