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ミナミ他、この話を初めて聞くメンバーたちは、だったら、とゴクリと唾を飲む。
「爆音神の総長が下す、唯一究極の絶対命令が、じゃあ……」
「そう。過去にも何度か出されたが、いつもたったひとつだけだ。トモキさんのオンナ『アンを守れ!』これだけ」
そこで輪になっていた中学生たちは、バッと一斉にアンを振り返った。
確か高校生だと聞いているが、自分たちの中学校の制服、セーラー服を女子から借りて着ていても、まるで違和感のない金髪の女。
女子たちに髪を整えさせ、飲み物の給仕を受けながら、ベンチに悠然と腰掛けている。
アンのその態度は、人にかしずかれる生活が習慣になっているような余裕さえ窺えて……。
それは『爆音神』の総長が愛したオンナ。
最下層メンバーまで合わせると、果たして何人になるかわからない『爆音神』全体の、唯一絶対の『女神』にふさわしい姿だと、中学生たちは思った。
「おい……。ちょっと待てよ」
ひとりが、いま気がついたというように、恐る恐る声を絞り出した。
「もしもこの命令に、おれたちが失敗するようなことでもあったら……」
誰もそのことを予想しなかったのか、そこにいた全員が、いきなり冷や水をかけられたように、ゾッと背筋を震わせた。
卓也がハッと我に返ったように顔をあげる。
そして、
「おい誰か、四方に見張りたてろ。怪しいやつがいたら、すぐ報告だ」
と声をあげた。
幸一も、
「おい女子。お前らもいざとなったら盾んなってその人を守れ!」
と叫ぶ。
メンバーはきびきびと自分の仕事をするために動き始めた。
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