第5章 独立記念日

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やがて、二台の車で追撃してきたふたりの男に案内されるようにして、ひとりの黒いスーツの男が駐車場の方から歩いてきた。 黒いスーツの中のシャツも深い黒。タイは濃い紺だ。 そんな黒ずくめの男の後ろには、身長190センチの哲郎をも凌駕するガタイのいい大男が、ボディガード然として付き従っている。 あの黒スーツの男が、今回の件のボスなのだと、すぐにわかった。 歩いているだけで、周囲を圧倒するその存在感。 そして、その実力のほどが知れる無駄のない足の運び。 「あいつか――」 哲郎が何も言わなくても、トモキの野生の勘にも、それは引っかかった。 「……マズイな」 あのトモキが、強者を前にして、喜ばずに冷や汗を流す。 それは、道場で数々の手だれと対戦してきた哲郎も同じだった。 あの不気味な黒ずくめの男の実力は、哲郎の父親と同じか、いや、それ以上かもしれない……。
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