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男たちが三門に近づいてきたので、トモキと哲郎は目だけは離さないようにして、そっと回廊から下がって楼内に身を潜めた。
ずいぶんと高さがあるので、下からは見られることもないだろうが、用心にこしたことはない。
だが、三門を見上げる位置までくると、その中心の男だけが足を止めて、バッと顔をあげた。
回廊を越えた楼内の暗がりの中に潜む、トモキと哲郎の姿など、下からはけっして見えないはずだ。
だのに間違いなく、その男はふたりの姿を、手すりの隙間を通して、その目に捕らえた。
それは、トモキと哲郎が生まれて初めて味わう、肉食獣から獲物として狙われた、と感じた瞬間だった。
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