第6章 レイバーデー

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――ところが、 「Stop it!」 突然聞こえた英語に、疎水橋をくぐろうとしていたビンディは足を止めた。 今の発音は、日本人のものではない。 振り返ると、岩のような男が抱いていた、セーラー服の胸元をはだけさせた金髪の女が、仰け反るようにして、男の胸板に手をかけ身体を突っ張らせている。 一瞬だけ、辺りに緊張した空気が走った。 振り返ったビンディと、女を抱いた男の目があう。 だが男は、ビンディに向けてフッと見下したように笑うと、 「バカだな。照れるな」 と言って、女に口づけた。
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