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息をきらせてバイクを置いてある店まで走ってきたトモキは、
「ってめーテツ。はあ、ぶっ殺してやる、はあ、はあ」
舌を出したマヌケな顔をさらしている。
「情けないのね、これぐらいで」
アンが余計なことを言うので、トモキがキレる。
「てめぇ、このアマ。いい加減にしねぇと犯すぞ、オラァ」
「……パードン?」
どこまで本気なのかわからない。
「行くぞ」
放っておけば、いつまでも睨みあっていそうなふたりの間に、哲郎は身体を割り込ませ、お互いの視界を遮った。
するとトモキが、自分のヘルメットをアンに投げつけ、
「おめーはこっちだ」
と言った。
哲郎は驚いた。
トモキは自分のゼファーを誰にも触らせない。
それをタンデムシートに乗せようというのだから、
「何を考えてる?」
思わず聞いてしまう。
「あぁ? 何も考えちゃいねーよ。気の強ぇオンナは嫌いじゃねぇ」
トモキは獲物を狙う獰猛な目をして答えた。
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