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「いらっしゃいませ」
あの日から数日後。
俺はいつものようにカウンターに立っていた。
美月とはちゃんと付き合っているのだから、本当はそのことを優弥に隠さず打ち明け、美月とコソコソ会うということをなくすべきなのだということは分かっている。
美月は何も言わないが、少なからず何か思っているに違いない。
「それなのに結婚て……」
矛盾だらけの自分に反吐が出る。
本音を言うと、できることなら今すぐにでも美月と結婚したい。
だけど、その資格が自分にあるのか自信がなかった。
「どうかしました?」
目の前に客に声をかけられ我に返ると、シェイカーを握りしめたまま立ち尽くしてしまっていた。
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