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言った瞬間、刈谷くんの顔がさらにぼんっと赤くなって、それから泣きそうになったのに気が付いて、俺は焦って「いいんだよ!」と良く分からないフォローを入れてしまっていた。
だって泣かれたくないし泣かせたくないし、そもそも泣く必要ないじゃん、コレ。俺の思った通りなら。
「刈谷く……」
「天罰だ」
何を神妙なことを言いだすのかと思ったら、さすが刈谷くん。俺の想像の斜め上である。
「天罰って、刈谷くんなんか悪いことしたの?」
全くもってしなさそうだけど。むしろ刈谷くん善良だろ。根本的に。だがその本人が懺悔するかのごとく、重々しく頷いた。
「した」
「なにしたの!? ちょっとそこは気になるけど、でも例えうっかり何かしたんだとしてもさ、天罰はおかしいでしょ」
「なんでだ?」
「俺も良くは分かんないけど、いきなり神様に決定権飛ばさないで、まずその何かしちゃった人に怒られてからの話じゃないのと、俺は思うわけだけど」
話がどんどん遥か彼方に逸れて行っている気がしなくもないが、これで刈谷くんの胸のつかえが取れるのならば結果オーライである。
咀嚼するみたいに、眼を瞬かせている刈谷くんに笑いかけてみた。
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