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「それはそうとして、刈谷くん一体何やらかしたの?」
「……」
「まぁ、言いたくないなら別にいいけど。あと、話変わるけど、俺、刈谷くんのことはばっちり心の底から好きだからね。だからそこは気にしないで、」
「……話、変わってない」
変わってないってか。
なにがだ。と言うか、俺の告白がこの部屋に通されてから、ずっと全スルーされてる気がするんだけど、これ気のせいだよね、そうだよね。
そんな俺自身への鼓舞はさて置いたとしても、当の刈谷くんがあまりにもどんより口にするもんだから、ついうっかり可愛い後頭部をよしよし撫でまわしたくなってしまったが、妄想だけで今は止めておくことにする。
「えーと、つまり、どういうことだった?」
「さっき言った」
「もしかしなくても、俺に恋の呪いかけちゃったことのこと?」
やらかしちゃったと言う事案は、それですか、刈谷くん。
へらりと小首を傾げた俺に、刈谷くんはとんでもない真顔で首をかくかくと2回振った。
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