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「中村は、そうじゃないのに。そうなりたかったわけじゃなくて、そうなわけじゃないのに。俺、そうなんだ。今のままがいいって思って、逃げてた」
「……刈谷、くん」
ちょっといろいろ分かりにくいけども、刈谷くんの本音だ。どこまでもまっすぐな、言葉。
刈谷くんが、俺に好かれたいって言ってくれてるんだけど、これ!
溢れ出る感動そのままに、キラキラした瞳で見つめてしまった。俺、好き。大丈夫、刈谷くん。たぶんなにがあっても俺、刈谷くん、好き!
「だから、中村が、怒っていいんだと思う」
どんどん語尾が揺れていく刈谷くんに、史上最大級にキュンときた。そんな不安そうな顔しなくていいのに。
「ねぇ、刈谷くん。俺、何回も言ってると思うんだけど、好きだよ。刈谷くんのこと」
「でも、それは……」
「まぁ、きっかけは刈谷くんの呪いだったかもだけどさ、でも今はそうじゃないよ。ちゃんと刈谷くんの中身も好きだよ」
まぁ顔見たら相変わらずドキドキしますけどね。でもよくよく思い返してみると、最初の頃みたいな恐ろしい頻度じゃないよなぁ、これ。
その代わり刈谷くんの行動とか発言とかにキュン死にしかけてたから、なんか回数増えてるような気がしてたけど。
でもそれって、別次元だ。
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