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一瞬、車から降りたくないという衝動に男はかられたが、
早くしないと他の車が通るかもしれないという焦燥感が、男の怯えた心を突き動かし、ドアのノブへと男の手を動かした。
男は車の外に降り立つと、
ソロソロと今度は仰向けで倒れている女の方へと近づく。
車のライトに照らされて、女の姿がさっきよりは格段によく見える。
ワンピースの色も白であると視認した。
最初に男は女の足の方へと目をやる。
スニーカーが片方脱げて無くなっていたが、
足の周辺には脱げた靴は転がっていないようだ。
徐々に視線を足先から腰、胴へと上げていく。
胸の膨らみが見えたところで目を瞑った。
「フ━━━ッ」
大きく息を吐き出して、閉じていた目を開き、
遂に女の顔を見た。
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