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男が我にかえった時、
目の前には蜘蛛の巣が拡がっていた。
今、自分の居る場所が車の運転席で、
その蜘蛛の巣がひび割れたフロントガラスであると認識するのに、男は更に数秒の時を要した。
酔いが醒めていないのか、
それとも鈍い衝撃で脳が揺れたのか、
とにかく頭がクラクラする。
《ハッ!?》
瞬間、男の全身に稲妻が走る。
「やっちまった!」
男は一声叫ぶと、ノブを引きドアを足で蹴り開け、勢いよく外の暗闇へと飛び出した。
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