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男は右手で女の細い足首を掴んだ。
《ん?やけに温かいな。》
男の頭に疑問が浮かんだ。
人間というのは死んでからどのぐらいの時間で
冷たくなってくるものなのだろうか?
《もしかして
まだ、生きているのか?》
だとしたら、
救急車を今度こそは呼ばなければならない。
男には生きている女を見殺しにするような
鬼のような卑劣な行為はできそうにもなかった。
足首を掴んでいた手を離し、
女の横側へと移動して
再びしゃがみ込んだ。
女の手首を握り脈をとってみた。
特に手首には何も感じなかった。
しかし、脈をとる正しい方法を知らない男には
この何も感じないのが
本当に脈が無いのか、
それとも脈をとる位置が間違っているのか
全く自信がなかった。
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