79人が本棚に入れています
本棚に追加
/404ページ
パサッ パサッ パサッ パサッ パサッ パサッ パサッ パサッ
林のあちらこちらで音がし始めた。
ピチャッ
男の顔に水滴が当たる。
どうやら、雨が降ってきたらしい。
そういえば、昨日の天気予報で
今日は朝早くから大雨になると言っていたのを思い出した。
その大雨の降り始めなのだろう。
「やれる」
男は声に出して呟いた。
この雨が、
女が頭から流した血を
綺麗に洗い流してくれるだろう。
「 …… 」
男が完全犯罪を確信した時、
また林の暗闇の遠くの方から
声らしきモノが聴こえてきたが
男はもう びくつくこともなく、
女を車に運ぶ作業に取りかかった。
車の方へと向き
女の両足首を両手で掴んで、
女を後ろで引きずるような感じで運び始める。
ズズズズズズ
その時、
女の指が微かに動いたのだが
男は全く気づかない。
地蔵だけが見ていた・・・ ─────
最初のコメントを投稿しよう!