地蔵

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男は慌ててその物体へと駆け寄った。 「ああ~っ」 暗闇に慣れてきた目がその物体を人だと認識した時、男は声に出して呻いた。 うつ伏せに倒れているその人は、長髪と着ている服装から若い女性だと男は思った。 「大丈夫ですか?」 男はその女からまだ1メートルは離れた所から、立ったまま声をかけた。    ………… しかし、女は男の声に応えるどころか、 身体もピクリとも動かず全く反応がない。 頭の付近に黒い水溜まりが広がっているのに気付いた時、男の頭にようやく《救急車》という考えが浮かんだ。
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