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ピクリとさえ動かないその女は、医者ではない男の目から見ても、
もはや、この世に生を受けていないことは明らかだった。
つまり、俺は人を轢き殺したのだ。
しかも、体にたっぷりとアルコールを残して…
《破滅》
男の頭をその一言がよぎった。
「冗談じゃない」
男は声に出して呟いた。
「この女が悪いんだ。
いきなり俺の車の前へと飛び出してきやがって… 」
「俺は悪くない、悪くないんだ!」
「何で俺ばっかりがいつもこんな目に遇うんだ!」
「ちくしょうッ!!!」
聞く者が居ない山中の道路上で男は叫んだ。
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