地蔵

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ふと、男の目に携帯電話画面の時刻表示が写った。   [午前1時19分] 《今なら… 》 その時刻を目にした時、 男の心に悪魔の声が囁いた。 深夜のこの時間帯、 街から男の住む集落へと続くこの山間の道路を、 男以外の車が通る確率は非常に低い。 そう、今なら、 誰にも知られずに事故を隠すことができる。 自分の人生を破滅から救うことができる。 男の思考が悪魔の考えに、 徐々に占領されていっているその時、 視界の隅っこに黒い影があるのに気づいた。
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