13.受け継ぐ者よ

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 修二は慌てて緊急搬送出入口に向かい、救急車が来るのを待った。  救急車は修二が着いたと同時に着き、倖が心臓を抑え意識を失っている姿が運ばれて来た。 「天宮君! 聞こえるか?」 「……」  応答は無かった。  でも、顔色はまだ悪くない。発見が早かったようだ。 「倖ッ! 大丈夫だからな! 助かるからな!」  それは、この必死になって倖の手を握り、声を掛ける男のお陰かもしれない。  その必死な顔に、修二は自分が重なった。だから、倖を絶対に死なせてはならない。そう、強く強く思った。 「よかった……」  早い処置のお陰で、倖は命を伸ばす事はできた。けれど、進行が思っていたよりも早く、倖の余命は短くなっていた。  早く手術を受けさせてやりたい。でも、そのお金は倖にはない。  なにか、方法はないだろうか。 「あの……」 「はい?」  倖の点滴を見ていると、男が修二に話し掛けて来た。男の服には絵具が付着していて、ふと、倖が澪に言っていた事を思い出す。  倖の好きな人が絵を描いている人だと言う事を。 「ありがとうございました」  不器用そうな男は、修二に深く頭を下げそう言った。その言葉に、修二は倖の容態を全て隠さず話した。  本当は、身内以外に話してはいけないのだが、倖とこの男の関係は身内同様だと思った修二は、倖の許可を得ずに全て話してしまった。
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