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(この日がようやく来た……)
修二は朝一で家を出ると、すぐに澪の元へと向かった。
病室に着くと、澪がベッドの上に座り、外を眺めていた。その姿を何度も見て来た修二は、この寂しげな姿をもう見たくはないと強く思う。
「修二……」
澪は寝付けなかったようで、少し眠そうにしていて、修二が来たのに気付くと笑みを作っていた。
「まだ少し時間あるし、時間まで寝たらどうだ?」
そう修二が言うと、澪は首を横に振った。
「ううん……起きてたいんだ……。ギリギリまで修二と話してたい」
「そうか……」
そう言われ、修二はベッドの端に静かに座る。そして、澪の顔を見詰めた。
「修二って、二重なんだよね」
「なんだよ急に」
「だからなのかな。タレ目でもないのに、優しく見える」
「どーせ、目は細いですよ。細めで切れ長ですよ」
「そっ、そこがかっこいいんじゃん。僕、修二の目好きだよ」
「本当かよ」
「本当だよ! 口元も、そのホクロも全部かっこいい! 修二は全てかっこいい!」
「フハッ。なんだよ急に、そんなかっこいいかっこいいっていっぱい言って。澪だって、すっげー可愛いよ」
「かっこいいではないの?」
「あぁ。可愛い」
修二は真顔でそう答えた。
澪はとても可愛い。
誰よりも。世界一可愛い。
そう言うと、顔を隠して照れ臭そうに笑う澪。
「ありがとう」
なんて言って、また頬を赤くして笑う。
ほんと、可愛い。
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