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高槻城に宣教師が訪れ、部屋で聖歌を歌うのを右近は父、飛騨守 友照と和田惟政と円座に座って聴いていた。
だが、右近は惟長の姿が見えないのを不安に思いそっと友照に囁くように聞いた。
「惟長様は何処へ?」
友照も気づいたのか、周りを見渡し首を傾げる。
「さぁ、見当たらぬな………」
「そうですか………」
ーーー惟長様、一体何処へ………
目を閉じて主の惟長の姿を刻みつける。
右近の心、身体を制するたった一人の男………
右近にとっては大切な神のような存在の男………
いなくてはならない存在の男………
その男がいないことに右近は不安を感じてしまう。
ーー確か惟長様は気に入りの場所があるとか申してたな……
まさか、そこに行かれたのか?
全く、落ち着きのない方だ……
苦笑を浮かべながら右近は席から立ち上がり廊下へと向かう。
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