夜酒ー溺れー

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忠誠を誓ってから数日が経つーーー 右近は惟長に夜になったら部屋に来るように呼び出され、廊下を歩いて向かっているとこだ。 ーー何故、私を夜に呼び出すのだ……? 頭の中は疑問で埋まるばかりで、いつの間にか部屋に辿り着いていた。 「惟長様、高山右近参りました。」 「堅苦しい挨拶などせずともお前の足音くらい聞いてるから知っとるわ…… 早く入ってこい」 ーーこの方は相変わらずだな…… 苦笑を浮かべながら部屋に入ると障子戸を開き月光を眺めながら盃に酒を注ぎ飲む惟長の姿があった。 一瞬、右近の身体の何処かがぞくりとする感覚を襲う。 ーー美しい…… 月光に照らされる惟長を右近はうっとりと見つめる、まるでそこに神がいるかのようなついつい祈りたくなってしまうような……そんな感覚に溺れてしまいそうになる。 手を伸ばしたくなってしまう、そう私だけの神がすぐそこにいるのだから、惟長様こそが………… 「おい、いつまでも其処でぼぅっとしとるでないわ!!」 惟長の大声ではっとする、あぁ……幸せな私の思考が、いや妄想か……切れてしまったか……。 静かに息をついて惟長のほうに向き直ると口を開く。 「何か私にご不満でもございましたか?」 「ふん、不満等ないわ…… 右近よ、側に来て酒を注げ」 キョトンとしてしまった。 ーー酒を注ぐためにこの俺を? 「はっ、ただいま…………」 惟長の近くに寄るとじっと惟長が自分を見つめている。 心臓がどくんと大きく波打つ、酒を注ごうとする手が震えている。 ーー惟長様が俺を見ていらっしゃる、この心臓の音はこの方のために鳴っているのだ。 そう、この心臓の音はこの方だけに………
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