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高山飛騨守友照、高山右近父子は和田家に仕えることとなったので摂津高槻国へと急いでいた。
高山父子の首には十字架、クルスが下げられている、実はこの二人……高山一族は切支丹大名でありキリスト教を信仰している者である。
切支丹となった証として洗礼名という物が与えられる。高山飛騨守 友照にダリオという名が、息子右近にはジュスト(正義の人という意味)の名が与えられたのであった。
「右近よ、ジュストの名に相応しい忠義で和田家に仕えるように高山の名に恥を欠かせぬようにな。」
ーー要らぬことを、もう子どもではないわ!!
右近は一瞬顔をしかめたが直ぐにいつもの冷静な表情へと戻した。
「……畏まりました。」
この度仕える和田家は足利義昭公の直臣で名を和田惟政という、二人が向かってる高槻国の主である。
ーー和田惟政様、一体どんなお方なのだろうか……
早くお会いしたい、家臣として早くお側に仕えたいものだ……
右近の胸には会いたいという思いが、期待が膨らんでいた。
クルスを握りしめてただ、ただ、黙って歩みを進める。
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