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夜、歩みを進んでた高山父子は高槻国へと入り高槻城に入った。
「右近、良いな。
先程、言うたとうりにな。」
「…………畏まりました。」
ーーこの俺をいつでも子ども扱いしおって!!
悔しさで唇を噛み締める、端からつうっと一筋の血が出る。
袖で口端から出た血を拭う、袖についた血が滲む。
ーー俺もこれからこの血のようにこの乱世、滲んだ努力をせねば!!
この時、右近の目はゆらりと揺れる火のように燃えていた。
和田家臣に連れられて高山父子は廊下を歩み、部屋へと連れられる。
「高山飛騨守友照、高山右近父子参りました!!」
「入られよ。」
部屋から凛とした男の声、この声の主が和田惟政だろう。
右近は身体が痺れるような感覚を覚えた。
ーーあぁ、この部屋にこれから俺が仕える主、和田惟政様がいらっしゃるのか、お会いしたい、早く……
父親に続き部屋へと入る、座っている男と目が合う座っているその男こそ和田惟政である。
「よう来たの、大和国から歩んできたと聞くご苦労である。」
「はっ、我等高山一族和田様に仕えるがため参りました所存!!」
「ふむ、では部屋を一つ貸そう、今日はそこで休むがよい。」
「はっ、ありがたき幸せ!!」
友照が礼を含めて忠誠を誓ってるなか右近はぼぅっと惟政を見つめていた。
惟政と目が合うとビクッと背筋が引き締まる。
「そなたが右近か……?」
「はっ、この高山右近!!
惟政様に忠誠を誓い、共に戦場でも付き従う所存にてございまする。」
心に詰まってた思いを全部吐き出したかのように右近は息を整える。
惟政はじっと右近を見つめたまま、何も喋ろうとしない。
口を開いた惟政から出た言葉に右近は驚かされる。
「ふむ、そなたの忠誠はわかった。
だが、右近よお主はまだ若いゆえ私の息子の側で仕えてくれぬか?」
「な、何故ですか!!」
「これ、右近!!
大声をあげるでない!!」
友照が大声をあげた右近を制する。
「どうやら、右近は高槻城へと参るなか疲れておるようです。
もう、下がってもよろしゅうございますか?」
「うむ、この度はご苦労。
明日から頼む。」
「はっ」
部屋を出ると友照は右近をジロッと睨みつけた。
「あれほど言うただろ、何故あのような」
「惟政様の側で仕えぬと知った悲しみで心が……」
重く溜め息を吐き、やれやれといったように首を振る。
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