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はあー…とため息を吐いた祥平。
「正直に言えば、俺も兄さんとは離れて暮らしてきたからあんまり実感はないんだ。兄弟だって言われても…。たまに会う親戚っていうか、従兄みたいな感覚かな。同じ"兄さん"でも貴浩兄さんの方がまだ近いような感じだし」
龍崎貴浩、か。
貴浩兄さんは佐伯の父の前妻の息子だから、俺たちにとっては腹違いの兄ということになる。
あの人はどうも苦手だ。
あの、人を食ったようなところが特に。
ブブブブブブブ。
携帯のバイブ音が響く。
ポケットを探るが、俺のじゃない。
「お、噂をすれば影…かな?」
まさかこのタイミングで?
どこかで様子を窺ってたんじゃないだろうな。
「もしもし…貴浩兄さんの話がちょうど出たとこだったんだよ。……うん、そう。今は翔真兄さんと2人だけだよ。そっか…分かった。じゃあまた連絡待ってるから」
「何の用件だ?」
「実は貴浩兄さんにも相談していたんだ。今後のことについて、いろいろと……」
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