佐伯家での密談

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「悪いな、つい。祥平…お前もピンチヒッターなんて浮わついたこと言ってないで、本腰入れて佐伯家を継ぐ覚悟をする時が来たんじゃないか?俺も今まで佐伯家にあまり近付こうとしなかったから、あまりにも無責任だったと反省はしてるけど」 「やっぱり俺に継げと言うんだな、兄さんは。しかし母さんは昔からずっと兄さんを後継者にするべきだって言っていたんだぞ。父さんが亡くなって、とりあえず俺が引き継いだ形になってるけど」 どうしてこう頭が固いんだ。 昔ならいざ知らず、今時こだわる必要ないだろ。 「俺が長男だからって言うんだろ?はっきり言わせてもらえば、俺には佐伯家の長男だっていう実感が全くない。だってそうだろ、物心ついた時から俺の父親は吉田真だと思ってきたし。だいたい何で俺は吉田姓じゃないのか理解できなかった。今さら自分の名前を変えたいなんて思わないが、佐伯姓を名乗ることと家を継ぐことは別問題だ」 今日は本音スイッチが入ってるらしい。
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