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そいつもそのはず。
そこではある二人の男が取っ組み合っていた。
ってぇより、一人の男がもう片方を床に組み伏せていた、っつった方が正しい。
組み伏せられた男のすぐ脇には、ギラリと光る抜き身の剣が落ちている。
だが、それより何より衝撃的だったのは、そいつが──そいつらが誰かって事の方だった。
そいつらは二人共、俺のよく知る人物、だった。
「ゴルドー、ジュード……!?」
「クッヒ!?」
俺が声を上げるのとほぼ同時、俺の足元近くで犬カバもギョッとした様な声を上げる。
そう──。
そいつは、床に組み伏せられてなお暴れ、逃れようとするジュードと、そいつを上からガッチリ押さえつけるゴルドー、だった。
「何やってんだよ、二人して んな所で……」
呆気に取られつつ言いかけるが、
「おい、王子サマよ、来んのが遅ぇじゃねーか!
何でもいいから助太刀寄越せ」
ゴルドーのいつものがなり声に消されちまう。
ゴルドーの言葉に、先頭のレイジスは涼やかに口の端を上げる。
そうして目線を護衛二人に向け、小さく頷く。
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