二十四章 アルフォンソ

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さっきの階段の入口を閉じて階段の縁を光らせたスイッチみてぇな何かが、どっかにねぇか? 思いながら触っていくが、特にこれといったモンは見当たらねぇ。 ……っかしいなぁ……。 思いつつ、大した考えもなく左手で石壁をグッと向こうへ押してみる──と。 押した石壁の一部が僅かに向こう側へ押し出される。 動いた石壁の大きさは、丁度トルスの旧市街にある俺の家の玄関戸と同じくらいか? ただしこっちはキッチリ長方形に切り取られてるんじゃなく、レンガ調に積まれたそのレンガ石の形に沿って切り抜いた様な感じだ。 押し出した石壁の淵がくっきり見える。 石壁の向こうからの強い光が、こっち側に差し込んでいるからだ。 てぇ事は、だぜ。 この向こうは、どっかの室内とかそういうんじゃなく……。 外に通じてんのか……? 疑問に思いつつも俺は今度は慎重にその石壁に手をかけ、更に向こう側へ押し出す。 すると、ほんの少し動いた先で、止まった。 そのまま──直感の向くまま石壁を左方向へスライドさせてやると、まるで重たい引き戸を引いた様にゆっくりと、切り抜かれた石壁が横に開いていく。
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