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── 一年後……。
「おい!あっちに逃げたぞ!」
「追え!逃がすな!!」
グラサンに黒いスーツ、ついでに揃いも揃ったオールバックの髪の男二人が、通りをバタバタ駆けて行く。
俺はそれを寂れた鉄階段の影に隠れたままやり過ごし、ふーっと深く息をついた。
そうして少し長くなっちまった金茶の前髪を軽くかき上げ、顔をしかめ呟く。
「~まっずいよなぁ、俺」
一億ハーツなんて大金を極悪金貸しゴルドーに借り受けたのはもう一年前。
そいつをもうちょい膨らませよーとギャンブルに手を出したのが全ての誤りだった。
一億ハーツはたったの五時間でゼロになり、俺は全てを失った。
そこからどーにかこーにかやっては来たが、一億ハーツなんて大金がそうそう簡単に手に入るわけもねぇ。
仕方なく逃げることに決めたのは良かったんだが。
俺はくしゃりと、町に貼られていた出来の悪い紙質のポスターを懐から取り出す。
くっそぅ、と悔し紛れに声をあげた。
そこに書かれていたのは、俗にいうイケメンなこの俺のセピア色の顔写真と、黒いインクで書かれた文字。
すなわち──
指名手配
リッシュ・カルト 17才
生死問わず
そして──
報償金───一億ハーツ!!!
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